感電は怖い!スマホ充電レベルでも危険.
最近,感電による不幸な事故があったので,感電が人体に与える変化について軽く調べてみました.
医学部時代に勉強はしたけれど,感電の症例は経験したことがない…
電流による人体の変化
【表1:電流による病態生理学的効果*1】
電流の強さ | 効果 |
---|---|
1 mA | ほとんど知覚できない |
3-5 mA | 手のグーパーができる(子供) |
6-9 mA | 手のグーパーができる(大人) |
16 mA | 手のグーパーができる上限 |
16-20 mA | 骨格筋の痺れ |
20-50 mA | 呼吸筋の麻痺,呼吸停止 |
50-100 mA | 心室細動の閾値 |
>2 A | 心停止 |
電気のおかげで便利に暮らしていますが,こうやって改めて電気のリスクを目の当たりにすると,震えますね.
感電によって,体の自由が奪わる,致死的な不整脈が生じる,呼吸ができなくなる(横隔膜や呼吸補助筋の動き自体を停止させられる),体内に火傷が生じる,等のさまざまな変化がおきます.
治療の際には,体表面の火傷が小さくても侮らず,電気による損傷の評価・初療を行い,十分な経過観察を行うよう注意が必要.また,命は取り留めても,数ヵ月後に神経の症状がでることもあるようなので,その点も注意せねば.
【表2:身近な電気製品と電流の強さ】
電流の強さ | 用途 |
---|---|
1-2.1 A | iphoneの充電器 |
15A | 家庭用コンセント |
一般事項のまとめ
- スマホ充電でも感電すれば心停止のリスクがある!(感電しないよう対策はとられているとは思いますが)
- 交流電流による感電においては,20mA程度であっても,10Hzより低い周波数で呼吸麻痺や心室細動を引き起こす可能性がある
*1:Koumbourlis, AC. Electrical injuries. Crit Care Med 2002; 30:S425.